【一条工務店の断熱王(断熱等級7対応)】仕様や価格を確認
一条工務店 45周年記念プロジェクトとして、昨今高騰を続ける電気代を抑える為の新スペック「断熱王」が2023年5月3日より全国対応を始めました。
当記事では「断熱王」とは何か?どのような仕様で価格は幾ら位なのかを確認していきたいと思います。
一条工務店の断熱王とは
一条工務店の「断熱王」とは、2022年10月に新設された断熱基準の最高等級「断熱等級7」に対応可能な断熱性能を有する仕様の事です。
新商品という訳ではなく、断熱等級7を満たす高断熱仕様の事を一条工務店が「断熱王」と命名しています。
この高断熱仕様の「断熱王」に対応可能な商品が、一条工務店の主力商品である2×6工法の「グラン・スマート」と「アイ・スマート」です。
断熱等級7対応の断熱王
断熱等級(正式名称「断熱等性能等級」)とは、住宅の断熱性能がどのくらいかを示すもので、等級は1~7の7段階あり、数字が大きいほど断熱性能が高い事を示します。
この等級はUA値(外皮平均熱貫流率)を基準に定められます。
◦断熱等級と基準となるUA値
等級/地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
断熱等級7 (HEAT20 G3基準相当) | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 |
断熱等級6 (HEAT20 G2基準相当) | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 |
断熱等級5 (ZEH基準相当) | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
断熱等級4 (H28年 改正省エネ基準) | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 |
断熱等級3 (H4年 新省エネ基準) | 0.6 | 0.6 | 1.1 | 1.3 | 1.6 | 1.6 | 1.9 |
断熱等級2 (S55年 旧省エネ基準) | 0.8 | 0.8 | 1.3 | 1.5 | 1.7 | 1.7 | – |
断熱王は断熱等級7,HEAT20 G3基準を満たすとの事なので、UA値は0.2W/㎡・K以下であると思われます。
ちなみに今までの「グラン・スマート」や「アイ・スマート」など、一条工務店の主力商品のUA値は0.25W/㎡・Kです。
「家は、性能。」というキャッチコピー通り、一条工務店の家は元々性能が高いのですが、断熱王の登場により全地域区分で最高等級の「断熱等級7」で家を建てられるようになりました。
断熱仕様を確認
断熱王の仕様は、今までのグランスマートやアイスマートと比べてどこが変わったのかを見ていきたいと思います。
断熱材の種類&厚み
使用される断熱材の種類と厚みに関しては従来仕様と変わりありません。
内断熱には高性能ウレタンフォーム(140mm)、外断熱には高性能ウレタンフォーム(50mm)。外内のダブル断熱構法で魔法瓶のような高い断熱性能を実現しています。
窓の仕様
窓の仕様も従来の仕様と変わりありません。Low-Eトリプル樹脂サッシが採用されています。
一条工務店で採用されているLow-Eトリプル樹脂サッシの熱の伝わりにくさを表すU値(熱貫流率)は0.8W/㎡・Kです。
ちなみに一般的なペアガラス+アルミ樹脂複合サッシのU値は2.33W/㎡・Kです。それに比べると約3倍程の断熱性能があります。
玄関ドア
玄関ドアが従来の仕様とは異なります。
今までは三協アルミの「プロノーバ」が主に採用されていましたが、断熱王では一条工務店オリジナルの「ダンジュ」が使われています。
従来の玄関ドアはドア厚60mm、U値は1.2W/㎡・Kでしたが、新仕様のダンジュはドア厚90mm、U値は0.46W/㎡・K(ガラス無しの場合)です。
玄関ドア枠には樹脂枠を使用、ガラスありの場合ガラスには強化Low-W 4層ガラスが付けられ、圧倒的な断熱性能を実現しています。
玄関土間下の断熱
従来の仕様は玄関土間の下に断熱材は充填されていませんでしたが、新仕様「断熱王」では、土間下にもしっかりと断熱材が充填されています。
これにより外気の影響をより受けづらくなりました。
「グランスマート」 「アイスマート」 | 「断熱王」 | |
---|---|---|
断熱材の種類&厚み | 高性能ウレタンフォーム(140mm+50mm) | 同じ |
窓の仕様 | Low-Eトリプル樹脂サッシ | 同じ |
玄関ドア | 三協アルミ「プロノーバ」 | 一条オリジナル「ダンジュ」 |
玄関土間下断熱 | 無し | 有り |
従来の弱点を克服した仕様
一条工務店の家はもともと断熱性能が高く、省エネ住宅ではあったのですが「玄関は寒い」と言われていました。
断熱に関して唯一の弱点であった「玄関」の寒さを玄関ドアのグレードUPと断熱玄関土間で克服したのが断熱王です。
断熱性能については、他のハウスメーカーのどの商品と比べても見劣りする事はなくトップクラスの性能を誇っています。
断熱王の価格や注意点
知り合いの一条工務店スタッフに確認した所、「今はリリースしたばかりという事もあってキャンペーン仕様で差額等は頂いていない」との話です。
つまり、今一条工務店で「グラン・スマート」および「アイ・スマート」を購入する方は標準仕様で断熱王仕様となる訳です。
ちなみにHPには対象商品は「グラン・スマート」と「アイ・スマート」しか記載がありませんが、「アイ・キューブ」でも断熱王仕様に対応が可能のようです。
ただし、アイキューブで断熱王仕様にする場合はオプションのような扱いとなり35万円前後の費用がかかります。
今後、グランスマートやアイスマートでもオプションのような扱いになるかどうかは分かりませんが、現時点(2023年5月12日)では、断熱王仕様が標準仕様となっています。
(※建築地やプラン、採用する仕様によっては対応できない場合あり。準防火・準耐火地域では対応できない。)
断熱王の気になったポイント
断熱性能は間違いのないレベルですが、それ故に気になるポイントが何点かあるのでご紹介しておきます。
◦玄関ドアが重たいかもしれない
断熱王の玄関ドア「ダンジュ」は、一般的な断熱ドアに比べて厚みが2倍以上あります。かなり重工な作りになっているので、小さい子供や高齢の方でも開け閉めが楽に出来るか?という点が気になります。
◦床の上に物を置くと傷みやすい
一条工務店の家は全館床暖房が付いています。その為、段ボールに入ったミカンとか野菜など食材を床に置いておくと暖かいので傷みやすいです。
従来仕様であれば、玄関土間はひんやりしていたので土間に置く事も出来ましたが断熱王では土間断熱も強化されているので食材を置いておける所はないです。
◦家の中の音は反響しやすい
一条工務店の断熱材、高性能ウレタンフォームは音を反響しやすく、また気密性能も高いので室内の音が外には漏れず、家の中で反響して響きやすいです。
◦設計自由度はあまりない
断熱王では断熱性能を確保する為に、適切な開口率となるよう開口率計算を1邸ごとに行います。
断熱性能を確保するための制限や一条ルールなどもあるので、間取りの自由度はそこまで高くはありません。
◦住宅設備系は一条オリジナル
一条工務店では基本的に住宅設備系は一条のオリジナル商品が採用されています。断熱王では玄関ドアも一条の商品です。
その為、キッチンにはリクシルのあの型のキッチンにして浴室はタカラスタンダードのあれが良いな。という風にメーカーを選んだりする事は出来ません。
ただ、一条の商品は性能も良いですし、同ブランドにする事でデザインも統一できるのでこだわりが無ければそんなに気にならないかもしれません。
断熱王と近しい断熱性能を持つ商品
断熱王と同じ位、断熱性能に優れた他社の商品をいくつかご紹介しておきます。
社名 | 商品名 | UA値 (W/㎡・k) |
---|---|---|
タマホーム | 笑顔の家 | 0.23 |
アイ工務店 | N-ees(ニーズ) | 0.4以下 |
クレバリーホーム | ENELITE THERMO(エネリートサーモ) | 0.26 |
土屋ホーム | CARDINAL HOUSE BES-T019 (カーディナルハウスベスト ゼロ・ワン・ナイン) | 0.19 |
ヤマト住建 | エネージュG3+ | 0.22 |
日本ハウスHD | 「館」「極」 | 0.25 |
2022年4月1日に断熱等級5、その半年後の2022年10月1日に断熱等級6,7が新設されました。2025年には、これまで最高等級であった断熱等級4が最低基準となり義務化されます。
そして2030年には断熱等級5が義務化予定となっています。
こうした断熱等級の引き上げや、昨今の電気代高騰を受け施主側が断熱性能をハウスメーカー選びで重要視するようになった事もあり、断熱性能を高めた商品がここ1年位で次々と発売されています。
今後もしばらく各ハウスメーカーの断熱性能合戦が繰り広げられると思いますので、断熱性能のより優れた住宅を建てたいとお考えの方は広くアンテナを張っておきましょう。
まとめ
一条工務店「断熱王」の仕様や価格を確認してきましたが如何だったでしょうか。
家づくりで断熱性能を重視する方には、断熱性能は勿論、価格とのバランスも良く、また他の性能も優れておりとても魅力的な商品だと思います。
ただ、昨今は多くのハウスメーカーが断熱性能を高めた商品の開発に力を入れているので、他の住宅も負けてはいません。
まずは、自分の好みに合う住宅や会社を見つける為に、気になるハウスメーカーのカタログを片っ端から集めてそれぞれ比較してみましょう。
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