バリアフリーの家は平屋が良い?(車椅子も対応の間取りも紹介)

2022-10-25

子供が独立をしてセカンドライフを楽しむ為に家づくりを行う方や、高齢者のご家族と一緒に住む予定の方、ご自身が高齢となった時を想定してなど、注文住宅でバリアフリーの家を建てる方が最近増えてきています。

そこで当記事ではバリアフリーの家にする為に大切なポイントやバリアフリーの家を建てるなら平屋の方が向いている理由やおすすめの間取り、バリアフリーの家の注意点なども併せてご紹介していきたいと思います。

目次
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バリアフリーの家に大切な事

そもそもバリアフリーの家とは、「バリア」=邪魔するもの、「フリー」=取り除くという意味があり、私たちの生活の中にある邪魔なものを取り除いて、小さいお子さんからお年寄りの方まで「安心・安全・快適」な生活が送れるように配慮がされた住宅の事です。

このバリアフリーの家を建てる時に特に大切なポイントが「段差を無くす」「転倒を予防する」「温度差を無くす」の3点になります。

◦段差を無くす
◦転倒を予防する
◦温度差を無くす

上記3点が大切な理由

2020年の交通事故による死亡者数は2,839人(警察庁発表数値)であるのに対し、家庭内の不慮の事故による死亡者数は13,708人となっています。

家庭内での事故死が交通事故による死亡者数の約4.8倍となっているのです。

家庭内での死因トップ3を見てみると1番多いのが溺死・溺水(40%)、2番目は窒息(23%)、3番目が転倒・転落(18%)となっています。

溺死・溺水の中で最も多いのが高齢者が浴槽内でヒートショックを起こしてしまう事。転倒・転落で多いのが2階からの転落や階段からの転落、滑ったりつまづきによる転倒です。

死因トップ3の内、2番目の窒息に関しては高齢者が餅を詰まらせたり、小さい子供が電池などを誤飲した事が原因となるので家の性能や作りで防げる要因ではありませんが、1番目と3番目に関しては家の性能や作りで十分に防ぐことが可能な死因理由です。

そうした家庭内での不慮の事故を減らす為に、「段差を無くす」「転倒を予防する」「温度差を無くす」の3点が大切になってきます。

段差を無くす

家庭内で転倒リスクを減らす為には家中の段差を無くす事が有効です。また段差を無くせば車椅子が必要になった時にも移動がスムーズに出来ます。

介護が必要となった時に段差が無ければ介護される側にとっても介護をする方にとっても負担を減らす事が出来ます。

転倒を予防する

転倒予防の為に歩行や動作をサポートする手すりを設置する事が大切です。手すりを設置する事で歩行や動作が楽になり生活がしやすく転倒事故も減らせます。

玄関スロープや廊下などに設置する手すりは主に歩行を補助する為の手すりとなります。トイレや浴室などに設置する手すりは立ったり座ったりする動作を補助する為の手すりとなります。

歩行を補助する為の手すりと動作を補助する為の手すりでは設置する高さや配置が異なりますので注意が必要です。

温度差を無くす

温度差が原因となるヒートショックで毎年多くの高齢者の方が亡くなられています。高齢者でなくてもヒートショックは体に大きな負担を与えるので家の中の温度差を無くす事が大切です。

温度差を無くす為には気密性能・断熱性能を高めると共に熱交換換気システムを備えるなどする必要があります。

家の中の温度差が無くなればヒートショックだけではなく結露の発生リスクも減らせるので家の長寿命化にも繋がります。また冷暖房効率も良くなるので光熱費を抑える事も可能です。

車椅子での生活や介護を受ける事も想定した間取り

今は足腰が元気でも将来車椅子での生活や介護が必要になるかもしれません。そうした事を想定した上で間取り作成は行った方が良いです。

後々リフォームで対応可能な事もありますが、家の構造や工法、仕様によってはかなり高額になる事もあるので新築時に対応しておいた方が経済的です。

例えば、車椅子での生活となると玄関スロープが必要ですし、家の中をスムーズに移動できるように廊下の幅や各部屋の扉の幅も広めに確保する必要があります。

家族や介護士さんに介護を受ける時には寝室はトイレや浴室から近い方が移動が楽にすむので両者にとって楽な間取りになります。

補助金の有無を確認

バリアフリーの家は地方自治体によって補助金を受けられる可能性もあります。ただ要件や期限などは各自治体毎に異なりますので、建築予定地の自治体が行っている補助金制度を確認する必要があります。

もしくは住宅メーカーに尋ねれば確認してくれますので、営業担当者に直接聞くのが早いかもしれません。

お得な住宅ローンが組める可能性は高い

ずっと固定金利で安心の住宅ローン「フラット35」の中に借入金利を一定期間引き下げる「フラット35S」というプランがあります。

「フラット35S」にはAプランとBプランがあり、Aプランは当初10年間、Bプランは当初5年間それぞれ借入金利から年0.25%引き下げられます。

「フラット35S」の基準は、通常の基準にプラスして下記のいずれか1つ以上を満たす必要があります。

◦省エネルギー性(高い水準の断熱性などを実現した住宅)
◦バリアフリー性(高齢者の日常生活を行いやすくした住宅)
◦耐震性(強い揺れに対して倒壊、崩壊などしない程度の性能を確保した住宅)
◦耐久性・可変性(長期優良住宅など、耐久性を有し、長期にわたり良好な状態で仕様するための措置を講じた住宅)

ちなみに、フラット35Sがどの位お得になるかと言うと

(例)借入額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.50%と仮定した場合

「フラット35」と比べ「フラット35S」(Aプラン)は総返済額が約73万円お得になります。
「フラット35」と比べ「フラット35S」(Bプラン)は総返済額が約39万円お得になります。

バリアフリー住宅の最新カタログ

バリアフリーの家を建てるなら平屋の方が良い?

結論から言えば、平屋の方が良いです。

では、なぜ平屋の方がバリアフリーの家に向いているのか理由を説明したいと思います。

階段が無い

1番の理由は「階段が無い」事です。階段が無いので、階段の上り下りで起こる事故が起こり得ません。また高齢になると階段の上り下りが億劫になり、せっかく二階を作っても使わなくなる可能性もあります。

平屋であればデッドスペースも出来ないので家中を有効に使えますし、階段での事故も無く安全に過ごせます。

車椅子や介護が必要になった時にも上下階の移動が無いので平屋の方が使いやすいです。階段に付ける車椅子用の昇降機もありますが、費用がかなりかかる事や一人で利用する事が難しい場合や、上り下りに結構な時間がかかり結局使わなくなると言った事もあります。

動線が良い

2階建ての家よりもワンフロアで生活が完結できる平屋の方が生活・家事動線が良くなりやすいです。普段の生活の中で動線が悪い事でストレスを抱えにくいですし掃除も楽になるので平屋の方が過ごしやすいです。

メンテナンス費を抑えられる

高齢になってからの大きな出費は生活に影響が出るので出来れば抑えたいところですが、家を健康な状態で長く住む為には定期的なメンテナンスが必要不可欠です。

二階建てだと二階部分のメンテナンス工事を行う時に足場を組む必要がありますが平屋の場合はその必要がありません。なのでその分、メンテナンス費用を安く済ませる事が出来ます。

また二階建ての上の方は高いので目視で中々確認がし辛かったりしますが、平屋であれば目視でも状態を確認しやすいので不具合などが起きた時に早めに気づきやすいといったメリットもあります。

将来的にリフォームをする時にも平屋の方がリフォームがし易く費用も抑えやすいです。

構造が安定しやすく地震・台風等に強い

「大きな地震で家が傾いたらどうしよう」「修繕費が高額になったらどうしよう」と言った心配毎をフリーにする事もバリアフリーに大切な事です。

平屋はシンプルな作りである事が多いので壁や天井、床などでバランスよく支える事が出来ます。また二階建てより背が低いので揺れによる負担も少なくなります。

二階部分の重さも無いので、大きな地震で家が崩壊するようなリスクも低いです。平屋の方が地震・台風などに対して強い家を作りやすいので安心して過ごす事が出来ます。

構造上安定しやすいので間取りの自由度も二階建てよりも高くなり、ライフスタイルに適した間取りを組みやすいです。

何かあった時に気が付きやすい

部屋と部屋との距離が近いので家族間でのコミュニケーションも二階建てより取りやすいです。戸を開けっ放しにしておけばリビングに居ながら他の部屋も見渡す事が出来、何かあった時にも直ぐに気が付きます。

様子を確認する事が出来ますし、開けっ放しにする事で部屋も広く感じられて開放感溢れるリビングとなります。

家の中の温度差を解消しやすい

冷暖房が二階に行ってしまう事がないので冷暖房効率は平屋の方が良いです。光熱費もその分抑えやすくなります。また上の階が無いので高気密の家を作りやすいです。

家の中での温度差が二階建てよりも出来にくくなるので平屋の方がバリアフリーの家に向いています。

バリアフリーの平屋を建てる時の注意点

バリアフリーの家には平屋が向いていますが、その平屋にも幾つかの注意点(デメリット)が存在しています。

また、バリアフリーの家を建てる事によるデメリットも幾つかありますので併せてご紹介していきたいと思います。

広い敷地面積が必要

家を建てる時に延床面積100㎡は確保したい場合、二階建てであれば1階50㎡、2階50㎡と階を別けて合計で100㎡を確保する事も可能ですが平屋であればワンフロアで100㎡を確保する必要があります。

その為、同じ延床面積の家を建てる場合平屋の方が広い敷地を必要とします。

建築費用が高くなる

同じ延床面積の二階建てと平屋の場合、基礎部分や屋根は平屋の方が倍程度広くなります。基礎工事や屋根工事は建築費用の中でもコストがかかりやすい部分なので、そこの施工面積が増えると建築費用も高くなります。

更にバリアフリーの家にする事で玄関スロープや手すり、バリアフリーに適した設備の採用なども必要となるので余計に費用がかかってしまいます。

プライバシー面や防犯面

平屋は家族間のコミュニケーションがとりやすく、何かあった時にすぐに気が付くという一面がありますが、言い換えればプライバシーの確保し辛いといった一面でもあります。

また平屋の方が二階建てよりも1階部分の面積は広くなります。その為、外部からの侵入経路が増えるので防犯面でのリスクも高まります。

プライバシー面の問題は、小さくても良いので自分専用の部屋を作る事で解消されます。防犯面は建てる地域の治安の確認や防犯設備を整える事で安心出来ます。

周辺環境の影響を受けやすい

平屋は背が低いので周辺が二階建てばかりだと陽当たりや風通しが悪くなる事があります。陽当たりや風通しを確保する為に中庭を設ける手もありますが、中庭はバリアフリーの家にはあまり向かないので周辺環境には注意しておく必要があります。

また平屋の大きな屋根を利用して太陽光パネルを設置する事も多いですが、周辺環境によっては陽の当たりが弱く思うように発電が出来ないと言った事が起こり得ます。

太陽光パネルを設置する時は周辺環境や方角や角度も大切になってくるので担当者と相談しながら進めましょう。

水害時

万が一水害が起こった時に平屋だと垂直避難が出来ないので家全体が水浸しになってしまうリスクがあります。家具類だけでなく自分自身も避難出来ないので注意が必要です。

浸水被害を避ける為に出来るだけ高地に家を建てるか、事前にハザードマップ等で水害の起こりそうな地域かどうかをチェックしてから土地は選びましょう。

また事前に台風や豪雨が来る事が分かっている時は止水板の設置や土のうを積んで対策をするのも効果的です。

リビングや収納スペースが狭くなる可能性

バリアフリーの家は手すりの設置を行ったり、車椅子での生活を想定して廊下の幅や各部屋の扉の幅も広めに確保しておく必要があります。

また、トイレや脱衣所・洗面所は車椅子のままでも使えるように広めに設計する必要があったり、介護の事も考慮してある程度のスペースを確保しておく必要があります。

その分、リビングなどの居室や収納スペースにしわ寄せがきて狭くなる可能性があるので狭小地にバリアフリーの家を建てる時には注意しておきましょう。

玄関から砂やホコリが入りやすくなる

玄関の上がり框(玄関の土間と床の段差を調整する横木の事)が高いとつまずく原因になるのでバリアフリーの家では低くする事が多いです。

車椅子での生活を考慮する場合には上がり框を無くしてフラットにした方で使い勝手は良くなります。ただし上がり框を低くしたり無くしたりすると砂やホコリが家の中に入りやすくなってしまうので注意が必要です。

車椅子も考慮したバリアフリーの家(平屋)の間取り

車椅子での生活も考慮されたバリアフリーの家(平屋)の間取りを幾つかご紹介していきます。

車椅子でもストレス無く暮らせる平屋

汚れが付きづらくメンテナンスの手間、コストを抑えられる白の塗り壁爽やかな印象を与える外観です。

玄関の土間とホールの段差は無くし車椅子でも移動が楽な幅も確保されています。洗面台は高さを調整し下部をオープンにする事で車椅子のままでも使いやすい洗面台になっています。

室内扉は全部引き戸で車椅子でもストレス無く暮らせる平屋の間取りです。

ライフスタイルの変化にも柔軟に応じられるバリアフリーの家

若い時はベビーカーや三輪車をスムーズに運ぶために、年を重ねてからは車椅子での上り下りを想定し玄関スロープを設置しています。

玄関の上がり框は通常の高さですが、将来的に必要になるかもしれない昇降機の置き場を確保するために広めに設計されています。

トイレや脱衣洗面室も広々とした空間が確保されており、リフォームの時に柔軟に対応ができるような作りとなっています。

お風呂・トイレも十分な広さが確保されたバリアフリーの平屋

手すりが付けられており安全に上り下りの出来る玄関スロープとなっています。内玄関にもスロープが設けられており一人でも気軽に外出を楽しめます。

廊下にも手すりを設置、幅は1200mmで余裕のある広さが確保されています。

お風呂・トイレにも動作を補助する為の手すりと十分な広さが確保されているので車椅子のままでも生活のしやすいゆったりとした間取りとなっています。

駐車場からフルフラットな設計がされているバリアフリーの家

駐車場から玄関までのアプローチは緩やかで自走用車椅子でも楽に上がれる設計に。また屋根が玄関まで続いており、雨の日でもストレスなく乗り降りできる工夫がされています。

玄関はフルフラットで段差が無いので開放的に感じられます。

ダイニングテーブルも車椅子のまま使用できる高さに調整。LDKから寝室や洗面脱衣室、浴室にもそのまま行けて生活動線も考えられた住みやすい間取りです。

シンプル動線で車椅子でも快適なバリアフリーの平屋

広く緩やかなスロープ、玄関扉には開口部が広く取れる3枚引き戸が採用されています。そして玄関には段差が無いので車椅子での外出や帰宅がスムーズです。

間取りはLDKを中心としており、どの部屋にもLDKから直接行く事が出来ます。廊下を設けない事で各部屋の広さを確保しています。

浴室と洗面室の段差もなくスムーズに移動が可能、洗面台もトイレも車椅子で使用しやすい作りとなっており快適な暮らしを過ごせる間取りです。

車椅子でも快適な動線を作るにはシミュレーションが大事

車椅子でも快適な動線にするにはバリフリー設計である事が前提ですが、実際の生活をリアルにシミュレーションする事も大切です。

例えば車から帰ってきた所から想像してみます。

車を駐車する向きは?車を降りてから玄関までの移動はスムーズか?玄関から各部屋への移動は?

リビングからキッチンや浴室、トイレなどへの移動は問題無いか?各部屋を掃除する時の掃除道具を閉まっておく場所は?取り出してから掃除はスムーズに出来る?

洗濯機の置き場は?洗濯物を干して、畳んで、しまう一連の動作がスムーズに出来る?朝起きてから外出までの流れもスムーズか?etc…

普段の生活の流れをシミュレーションする事で、ここはこうした方が楽、便利などが見えてきます。

またバリアフリー設計で作成された間取りを出来るだけ多く見比べる事でも、自分のライフスタイルに適した間取りがどういった間取りなのかが見えてきます。

複数の会社から条件に沿った間取りを作成して貰う事で、例えばA社の玄関まわりの間取りとB社のキッチン回りの間取りを合体されたスペシャル間取りを作成する事も出来ます。

つまり、自分達家族にとって最高の動線の間取りを作るにはより多くの間取りを見比べて、生活を送るシミュレーションをリアルに行う事が大切です。

出来るだけ良い間取りで家を建てる方法

自分に合ったオンリーワンな間取りで家を建てるには、条件や希望に沿って作って貰った間取りプランをより多く見比べる事です。

1社2社だけの間取りプランでは、その間取りが本当にベストなプランなのか対象が少なすぎて比較が出来ません。同じ条件で作成してもらった出来るだけ多くの間取りプランを見比べる事で始めて自分に合った最適な間取りが見えてきます。

複数社から間取りプランを集めると、A社とB社とC社の良いとこ取りをしたハイブリッド間取りなんかも作る事が出来ます。

家づくりにおいて間取りはとても大切なポイントとなるので必ず複数社から間取りプランを貰い比較・検討をするようにしましょう。

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バリアフリーの家におすすめの間取りや設備

バリアフリーの家におすすめの間取りや設備を幾つかご紹介していきます。

アプローチ・玄関ホール

車椅子での生活も考慮してアプローチにスロープを設置する間取りが人気です。スロープを設置する時は勾配の角度に注意を払いましょう。

基本の傾斜角度は10度と言われています。10度であれば介護者の方は楽に車イスを押せますし、電動車イスでの自走も問題ありません。手動の場合は本人の体重や身体能力にもよりますが、少し大変に感じる方もいらっしゃいます。

傾斜角度を10度よりも緩やかな角度にすれば一人でも問題なく上り下り出来ますが、傾斜を緩やかにすればするほどスロープの距離は長くなり設置面積が必要になるので注意しておきましょう。

玄関扉は開閉の為のスペースを必要としない引き戸や引き違い戸がおすすめです。リモコン操作で開閉できるタイプが便利です。

そして玄関の上がり框(玄関の土間と床の段差を調整する横木の事)の段差は、通常の高さだと高齢になった時につまずく原因にもなるのでなるべく低く設計しておいた方が安全です。

車椅子を想定すると段差を無くしてしまった方がスムーズに移動が出来ますが、上がり框を無くすと玄関から砂やホコリが入りやすくなってきます。

上がり框を低めに残したまま電動の段差昇降機やスロープをつける方法もあります。

車椅子の予備や外出用、室内用とで分けて使用する事も考えて玄関に車イスの保管場所も備えておくと便利です。車椅子を使うまでは収納スペースとして使用出来ます。

また玄関に腰かけ用の椅子やベンチも置いておけば靴を脱いだり履いたりする時に楽になります。近くには動作を補助する為の手すりも設置しておきましょう。

廊下・部屋への出入り口

画像:NKプランニング株式会社

車椅子での移動を考慮して廊下・部屋の出入り口の幅を確保しておく必要があります。

本人の体格や車椅子の種類により多少の前後はしますが、85cm~90cmの廊下幅と出入り口の幅を確保しておけば移動もスムーズに行えます。

廊下に設置をする照明等のスイッチ類は車椅子の高さに合わせて配置を決めると良いです。廊下の床材は滑りにくい素材である事に加え、車椅子での移動でも傷が付きづらい素材や、万が一転んだ時にもケガのし難いクッション性のある素材を選ぶと良いです。

また夜間など暗くなりがちな廊下は補助灯として人感センサー付きの足元灯を付けておくと、トイレに起きた時にも自動で足元を照らしてくれるので安全です。

浴室

画像:ダイニチ

浴室への出入り口は段差も無くして広さも確保しておく必要があります。段差を無くす事で洗面・脱衣室に水が侵入しやすくなりますので、浴室と洗面・脱衣室の間に排水用の溝を設けるなど排水機能を整えておく必要があります。

また出入り口の広さを確保しやすい事と、万が一浴室で転倒をしてしまうと内開き扉では体につっかかり外から扉を開けづらくなってしまう可能性もあるので、浴室の扉は引き戸か折れ戸がおすすめです。

浴室は石鹸やシャンプーで滑りやすくなるので床材にも注意が必要です。それとヒートショックの心配もあるので、断熱性能が高く滑りづらく水はけの良い床材が良いでしょう。

その他には浴槽の高さにも注意しておきましょう。

浴槽が高いと跨いで入る時に足を引っかけてしまう危険があるので低い方が安全です。一般的に普及している浴槽の高さは60cmm程度が殆どですが、バリアフリーの家には40cm程の高さの浴槽がお勧めです。

浴室内の動作をサポートする為に手すりを設置しておきましょう。浴槽へ入る時・出る時の動作をサポートする手すりと、洗い場や出入口付近にも手すりと設置しておくと使い勝手が良くなります。

洗面・脱衣室

画像:Takara standard

車椅子での使用や、足腰が弱くなる高齢になった時の使用を想定してバリアフリーの家では座ったままでも楽に使える高さの洗面台を採用するのが人気です。

高さを調整すると共に、車椅子や椅子に座りながらの使用となるので洗面台の下がオープンである必要もあります。

一般的な洗面台は洗面ボウルの下は収納スペースとなっていますが、そこを無くして足を入れられるスペースを作ります。洗面台の収納スペースが無くなってしまうので収納は別途確保しておきましょう。

洗面・脱衣室の床材は耐水性の高い素材を使用する事が多いですが、タイルだと耐水性は高いですが硬い素材なので転倒時にケガに繋がる可能性があります。

その為、洗面・脱衣室の床材は耐水性もありつつ柔らかめの素材であるクッションフロアやコルクなどが向いています。

また洗面・脱衣室は冬寒くなりがちでヒートショックを起こす要因となりやすいので暖房機を設置しておくと良いでしょう。

更に、洋服を着脱する時や身体を拭いている時に転倒の恐れがあるので座ったまま作業ができるように椅子やベンチなどを置いておくと安心です。

キッチン

画像:LIXIL

洗面台と同様に高齢になった時の事や車椅子での使用も考慮してキッチンカウンター(天板)を上下に昇降し自由に高さを変えられるキッチンを採用するのが人気となっています。

ワークトップの下はオープンスペースになっているので座ったままでも楽に料理を作る事が可能です。

吊戸棚収納もスイッチ一つで昇降出来るタイプもあります。

高齢になると視力が悪くなり視界も狭くなりがちなので、調理時の手元を明るくする照明を調理場の上に設置するのもおすすめです。

そうした設備のスイッチや換気扇のスイッチも全て手の届く範囲に纏めて設置しておくと便利に使えます。

その他には、キッチンの壁紙は防火性や難燃性も意識しつつ、油汚れなどの汚れを拭き取りやすい素材にしておくと掃除が楽になります。

水栓に関しては蛇口ハンドルよりもレバーハンドルの水栓の方が使いやすいです。センサー式の自動水栓であれば奥まで手を伸ばす必要がないので、座ったまま使用するキッチンには特におすすめです。

またガスコンロだと火災や火傷の心配がありますのでバリアフリーの家にはIHコンロが向いています。火を使わないので安心な事と、日常お掃除も楽になります。

トイレ

画像:TOTO

車椅子での使用や介護を受ける事も想定して幅160~180cm程度×奥行き160~180cm程度を確保しておくと使いやすいトイレとなります。

出入り口の段差は無くし扉は引き戸で、車椅子でも通れる幅を確保しておきます。また立ったり座ったりする動作を補助する為の手すりも設置しておきましょう。

他にも洗浄レバー式ではなく洗浄リモコン式の便器を導入し手の届きやすい場所にボタンやリモコンを設置したり、自動で蓋の開閉を行う機能や自動洗浄機能が付いていると便利です。

背もたれを付ける時は蓋があると背もたれを隠してしまうので蓋の無いタイプの便器となります。便器自体の素材も汚れが付きにくい素材にしておくと掃除が楽になります。

また冬季にはヒートショックの事を考え、ヒーターなどの暖房器具の設置も必要となるのでコンセントを付けておくと良いでしょう。

トイレの床材は、使用時に思わぬ拍子で床を汚してしまう可能性もあるので抗菌性能が高くシミになりにくい床材などがおすすめです。

寝室

画像:モアリビング

介護が必要なった時には家族の目の届きやすい配置にする事が大切ですが、安全性を重視し過ぎてプライバシーが損なわれないように注意しましょう。

バリアフリーの家で特に人気が高いのがトイレや洗面室・浴室の近くに寝室を配置する間取りです。

高齢になるとトイレに行く回数も増え、トレイまでの距離が遠いと不便に感じてしまいます。また介護が必要になった時に寝室からトイレ、洗面室・浴室が近いと介護される側も介護者の方も負担が少なく楽になります。

また陽当たりや風通しが良く外の景色も眺められるようなリラックス出来る環境を整える事も大切です。

ちなみに寝具は布団だとハウスダストを吸いやすく底冷えもします。出したりしまったりするのも負担となるのでベッドの方がおすすめです。

ベッドに寝転がったままでもテレビや照明、エアコンなどが操作出来るようにリモコンを手元にまとめて置いておけるような作りにしておくと便利です。

車椅子での生活や介護の事を想定してベッドの足元とサイドのどちらかは広めのスペースを確保しておきましょう。

引き戸

画像:Panasonic

一般的な住宅では開き戸が採用される事が多いですが、バリアフリーの家では開閉の為のスペースを必要としない引き戸の方が使い勝手が良く人気です。

開けっ放しにしておいても扉が邪魔にならないですし、ゆっくりと閉まる機能も付いているので勢いよく閉まってしまってケガをするような心配もありません。

ただし開き戸に比べると気密性が取り難い事や音が漏れやすい事、扉収納部の壁面を使えない等のデメリットもあります。

LDKを中心をした間取り

LDKから直接各居室やトイレ、洗面室などに行けるLDKを中心とした間取りは移動距離が短くなるので動線が良くなります。廊下も不要なので、各居室やトイレ・キッチン・浴室などをその分広く作れたりもします。

またリビングに隣接する部屋の扉を開けっぱなしにする事で空間に一体感が生まれ開放感も得られます。と同時、リビングからでも他の部屋の様子を確認出来るので何かあった時にも直ぐに気付けるといった安心感もあります。

車椅子での生活や介護が必要になった時にも暮らしやすい間取りです。

高気密・高断熱仕様

ヒートショックの対策としても必要ですし、高気密・高断熱の家は冷暖房効率も良くなるので光熱費も抑えられます。結露も発生しにくい環境となるので家の長寿命化にも繋がります。

断熱性能に関して

画像:LIXIL

上図の通り夏は73%、冬は58%が開口部を通じて熱が出入りしています。

つまり高断熱の家にするには天井や壁、床に使われる断熱材の種類や厚みも重要ですが、開口部の断熱性能を上げる方が簡単に家全体の断熱性能を上げる事が出来ます。

開口部の断熱性能を上げる時にまず注目するのが窓です。

窓はガラスの種類、ガラスとガラスの中間層に入れる気体の種類、サッシの種類、スペーサーの種類によって断熱性能が決まります。

おすすめはLow-E複層ガラス(アルゴンガス入り)のオール樹脂サッシ、樹脂スペーサーの窓です。

窓の次は玄関ドアや勝手口の断熱性能にも注目しましょう。

勝手口に関しては付けない事が1番の断熱対策となりますが、付ける場合にはU値(熱貫流率)の低いものを採用しましょう。

玄関ドアに関してもバリアフリーの家におすすめな引き戸の中でU値の低い玄関ドアを採用するのがおすすめです。

目標としてこれから家づくりを行う方は断熱等性能等級5以上を目指したい所です。

気密性能に関して

断熱性能だけ高くても気密性能が低ければあまり意味がありません。断熱性能と気密性能はセットで考えましょう。

断熱性能は仕様が決まった段階で計算によって求める事が出来ますが、気密性能は家がある程度出来上がってから現場で専用の機器を使って測定します。

つまり、家がある程度出来上がるまでは分からないのです。

その為、気密性能の良い家が建てられるかどうかは契約を結ぶ住宅会社の過去に施工した住宅の気密性能(C値)を参考にしましょう。C値は小さいほど気密性能が優れている事を表しているのですが、新築時であればC値0.7以下を目指したい所です。

過去に建てた家の平均C値が0.7以下の住宅会社であれば気密性能及び施工精度に関しても安心が出来ます。

まとめ

バリアフリーの家には平屋が向いている理由や車椅子も対応している間取りの紹介、バリアフリーの家に取り入れたい間取り・設備などを紹介してきましたが如何だったでしょうか。

冒頭でも話しましたが、シニア世代の方がセカンドライフを楽しむ為にバリアフリーの家を検討したり、若い世帯が将来を見越して建てたりとバリアフリー設計の家が増えてきています。

小さいお子さんから高齢の方まで「安心・安全・快適」に暮らせる事を前提としたバリアフリーの家は多くの方にお勧め出来ますが、いくつかあるデメリットには注意しておきましょう。

またバリアフリーの家は手掛ける住宅会社によっても出来が大きく変わってきますので、バリアフリー住宅の施工実績の豊富な住宅会社を候補に選びましょう。

素敵なマイホームづくりを応援しています。

バリアフリーの家におすすめのハウスメーカー

輸入住宅を得意としている会社、ローコスト住宅を得意としている会社、ガレージハウスを得意としている会社など住宅会社毎に得意としている分野は異なります。

得意とする会社とそうでない会社とでは実績・ノウハウが異なるのでデザイン力から設計力・提案力など全てにおいて差が出ます。

バリアフリーの家を検討する時は必ずバリアフリー住宅の施工実績が豊富な住宅会社から選ぶようにしましょう。

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家事動線重視です。
台所の近くに水回りはまとめて、洗濯→干す→畳む→ウォークイン+寝室の動線での間取りを希望します。
収納スペースは出来るだけ確保して欲しいです。

住宅は30坪程で考えています。

夫婦、子供2人の4人家族です。

まだ検討し始めたばかりです。
理想の間取りがどれくらいの建築費用で作れるのかが気になったので利用しました。
宜しくお願い致します。

【注文住宅希望。人気の間取り例集等を見てみたいです。】

注文住宅の間取りプランと見積もりをお願い致します。
土地16坪、建ぺい率50%、容積率100%。

世帯年収は1200万円です。
予算は2000万円。
頭金は一旦なしで考えています。

間取りは可能であれば3LDKが希望ですが、難しい場合は2LDKでも構いません。(子ども2人を予定)
理想は2階建てですが、地下や3階建てでも良いです。
主寝室は6〜7畳以上希望。
家事のしやすいで動線での間取りを希望します。
駐車場は不要。(あっても良い)

その他の間取りはまだ具体的に決まっていないので、参考資料やアドバイスを頂きたいです。
人気の間取り例集等があれば見てみたいです。

宜しくお願い致します。

【現在ハウスメーカーと話を進めていますが他社も見てみたい】

二階建ての注文住宅希望です。
間取りは4LDKが希望です。

1階に水回り、LDK、和室。玄関にSCLが欲しいです。
2階に洋室(子供部屋)2部屋、主寝室とWCLを付けて欲しいです。
生活がしやすい動線での間取りを希望。
バルコニーは必要性があまりなく、その分収納を充実させたいと思っています。

予算は3300万円です。

現在ハウスメーカーと話を進めていますが、希望の金額とのギャップが大きいため、他社を見てみたいと思っています。
一括見積もりをお願い致します。

この記事を書いた人
管理人
管理人

資格:宅地建物取引士(東京都宅地建物取引業協会認定)
経歴:不動産・住宅業界約10年
元ハウスメーカー勤務。現在は家づくり関連の情報サイトを複数手掛けるWEBディレクター
不動産・住宅業界10年以上の経験を活かし、注文住宅に関する"分からない事"を解消できるようにこのサイトを作成しました。