長期優良住宅で後悔しない為に抑えるポイント

2021-04-09

税制面の軽減制度や住宅ローンの金利優遇など様々なメリットのある長期優良住宅ですが、長期優良住宅にした事で後悔をしている施主さんも少なからず存在しています。

この記事では長期優良住宅で後悔をしない為に抑えておきたいポイントや長期優良住宅でありがちな後悔談など紹介をしていきますので、長期優良住宅を検討されている方はぜひご参考にしてみて下さい。


家たてる

長期優良住宅はメリットが多いって聞いた事があるから僕も気になっているんだけど、そもそも長期優良住宅が何か?からよく分かっていないんだよね…汗

ナビ子

畏まりました。それでは長期優良住宅についてのご説明や後悔しない為に抑えておきたいポイントなどをご紹介していきますね!

目次
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後悔しない為に知っておこう!長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは2009年に開始した「長期優良住宅認定制度」の基準をクリアし、所管行政庁から認定を受けている住宅の事を「長期優良住宅」と呼んでいます。

長期優良住宅は一定基準の性能の確保や定期点検・メンテナンスが義務化されているので長期に渡り安心して快適に暮らせるという特徴があります。

では長期優良住宅と認定を受ける為に満たすべき基準を見ていきましょう。

長期優良住宅の設定基準

画像参照元:広島良質R住宅

長期優良住宅の認定を受ける為の基準は以下の7項目(※1)を満たしている必要があります。
(※1)一戸建ての場合は7項目。マンションの場合は9項目になる。

・劣化対策
・耐震性
・維持管理・更新の容易性
・省エネルギー対策
・住戸面積
・居住環境への配慮
・維持保全計画
(マンションの場合は上記7項目に加えて可変性、高齢者等対策も必要となる。)

1.劣化対策

数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。(100年程度)
劣化対策等級3相当
構造の種類に応じて以下の措置が必要。
【木造】
床下空間330mm以上確保、床下・小屋裏に点検口を設置
【鉄骨造】
防錆措置又は木造と同様の措置
【RC造】
水セメント比を5%低減又はかぶり厚さを1cm増加

2.耐震性

めったに起きない大きな地震に対しても継続利用のための改修の容易化を図るために損傷のレベルの低減を図る事。
以下の①~③のいずれかを満たすこと。
①.耐震等級1
(限界耐力計算を行い、安全限界変形 1/100(木造 1/40)以下を確認)
②.耐震等級2
③.免震建築物であること

3.維持管理・更新の容易性

構造躯体に比べると耐用年数が短い内装や設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられている事。
維持管理対策等級3相当

4.省エネルギー対策

必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されている事。
断熱等性能等級4相当

5.住戸面積

良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
一戸建ての場合少なくとも一つのフロアの床面積が40㎡以上(階段部分の面積を除く)、合計が75㎡以上。(地域によっては合計床面積55㎡以上に緩和される)

6.居住環境への配慮

良好な景観の形成、その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。

7.維持保全計画

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
維持保全計画に以下の事項を定めること
・構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、給水・排水の設備について仕様に応じた点検の項目・時期(点検の時期の間隔が10年以内であること)
・点検の結果、必要に応じて補修等を行うこと
・地震・台風時に臨時点検を行うこと
・維持保全の実施期間が30年以上であること等

後悔に繋がりやすい?長期優良住宅で注意すべきポイント

長期優良住宅の注意点やデメリットを知らずに建てると後々になって後悔をする事に繋がりやすいです。そうならない為に気を付けておきたいポイントが何なのかを知っておきましょう。

長期優良住宅の申請は着工の前におこなう事

長期優良住宅の認定を受ける為に所管行政庁に必要書類を提出しないといけませんが、その申請は着工の前におこなう必要があります。着工後や竣工後に「やっぱり長期優良住宅の認定を取りたい」と思っても手遅れになります。

また家の仕様が長期優良住宅の基準を満たしていても所管行政庁から認定を受けていないと長期優良住宅とは認められませんので税制面のメリットなどが受けられなくなります。その辺りも注意が必要です。

申請するのには費用がかかる

認定を受ける為の申請にも技術的審査費用や手数料などで5万円~6万円程度必要になります。ただしこの金額は個人で申請を行った場合です。

長期優良住宅の申請は個人でも行う事が出来ますが、用意をする書類が煩雑で専門的な知識も必要になってきますので住宅メーカーに代行して貰う事が一般的です。

住宅メーカーに代行をして貰う場合は代行手数料が上乗せされて約10万円~30万円位必要になってきます。こちらの金額は住宅メーカーによって変わってきますので事前に確認をしておきましょう。

住宅性能評価書も取得する場合には追加費用がかかる

住宅性能表示制度に基づき発行されるものが住宅性能評価書です。住宅性能評価書を取得するメリットは以下の通りです。

・住宅の性能が等級や数値で表示されるので専門家でなくても性能が分かりやすい。
・第三者機関が公平にチェックをしてくれるので施工に対して安心感を得られる。
・万一トラブルが起きても専門機関(指定住宅紛争処理機関)が対応をしてくれる。
・住宅ローンの金利優遇や保険料の割引が適用される場合もある。
・資産価値を維持しやすいので売却時に有利になる。

上記のようなメリットを享受できる事や、長期優良住宅の評価基準の項目の多くが重複しており提出書類を兼用できる事から長期優良住宅の申請を出す方の約7割が住宅性能評価書の申請も同時に行っています。

ただし評価基準が似ており提出書類が兼用できても別物の制度なので別途費用がかかります。住宅性能評価の申請には約10万円~20万円かかるのが相場です。

こちらの金額も住宅メーカーにより異なりますので事前に確認をしておいた方が良いでしょう。住宅メーカーによっては提出書類もほぼ兼用出来るので長期優良住宅と併用して申請をする事で費用を抑えるサービスを行っているところもあります。

Tips

長期優良住宅制度と住宅性能表示制度は多くの評価項目が重複しており、技術的審査はどちらも登録住宅性能評価機関が行っていること。それにも関わらず現在は別の制度なので費用も別途必要になったり、それぞれで調査が必要な為に時間がかかったりなど合理性に欠ける部分があります。

その為、現在この2つの制度の一体的な運用に向けて検討が行われています。一体的な運用が実現すれば申請コストの低減、評価期間の短縮が期待出来ます。

定期点検・必要に応じてメンテナンスが義務化

長期優良住宅の申請書類の中に「維持保全計画」という物があります。これは、どの部分をどの程度の頻度で点検をするかや再塗装や交換、補修をいつ位に行うかなど点検と補修の計画をまとめた書類です。

長期優良住宅ではこの着工前に提出した「維持保全計画」に基づいてアフターメンテナンスを行う必要があります。維持保全計画でまとめられている定期的な点検及びメンテナンスが必要な箇所をざっくり言うと、構造躯体(基礎、土台、床組、軸組、小屋組)・屋根、外壁、開口部等・設備などです。

認定を行った所管行政庁より住宅の維持保全の状況について報告を求められる事がありますので点検結果、修繕時の工事内容の記録などまとめた書類は事業者から受け取り保存しておきましょう。

所管行政庁に維持保全が適切でない。と判断をされた時には是正指導や改善命令が下されます。その改善命令に違反をした場合には長期優良住宅の認定を取り消される可能性があります。認定を取り消されると税制面の優遇制度は受けられません。

なお所管行政庁から報告を求められた時に応じない場合や虚偽の報告をした場合には30万円以下の罰金に処せられることがありますのでご注意ください。

つまり長期優良住宅は着工前に提出する「維持保全計画」に則って定期点検・メンテナンスを行う必要があり、維持保全の状況に関する記録は作成・保存しておかなければいけません。

定期点検やメンテナンスは長く住む為にやった方が良い事なので、それ自体はデメリットではありませんが任意ではなく義務付けられている事やペナルティがある事がプレッシャーに感じそうですね。

ちなみに維持保全の状況に関する記録を作成したり保存するのは長期優良住宅の実績が豊富な住宅メーカーであればサービスで対応してくれる所もありますので、個人で作成&保存するのが難しそうな時には相談するのが良いでしょう。

収入やローンの借入金額によっては税制面の恩恵が少ない

長期優良住宅のメリットの1つに住宅ローン減税の控除枠の拡大があるのですが控除枠は住宅ローンの借入額が大きく、収入も多い方が恩恵が受けられます。

収入やローンの借入額によっては恩恵を殆ど受けられない事もあります。この辺りの詳細は"住宅ローン減税制度の概要“に詳細を記載しておきます。

認定を受けた後に設計を変更したい場合には計画変更の手続きが必要

長期優良住宅の認定を受けた後になって設計を変更したい場合には計画変更の手続きをとらなければいけません。

軽微な変更であればその必要はありませんが、例えば増築やリフォームをする場合や維持保全計画を変更したい場合には計画変更手続きを行う必要があります。

着工開始するまでに時間がかかる

申請を出して認可を受けてからでないと着工が出来ないので申請無しの場合と比べると数週間~1ヵ月ほど余計に時間がかかります。住宅性能評価書も同時に取得する場合には更に時間が可能性があります。

着工が遅れれば当然住宅の引き渡し時期も後ろ倒しになりますので、賃貸に住まれている方はその分の家賃が発生してしまい家賃分の経済的デメリットも発生します。

長期優良住宅を得意としている住宅会社であればその辺りのノウハウが十分に蓄積されているので、経験の乏しい会社に比べるとスムーズに事を進めてくれます。

長期優良住宅の得意な会社を探す

建てるのにコストがかかる場合がある

このデメリットに関して長期優良住宅仕様にしたらコストがかかるとは一概には言えません。何故なら最近では標準仕様で長期優良住宅に対応してある商品が多いからです。

住宅会社のなかには全棟が標準で長期優良住宅対応しているところもあります。そうした会社であれば別途コストがかかるような事はありません。

長期優良住宅の基準に達していない性能の商品を長期優良住宅仕様に引き上げる場合にのみ当然ですが追加でコストがかかります。ただし昔に比べると今は技術や資材の質が上がっているので格段にコストがUPするという事は少なくなっています。

どの位お得?長期優良住宅のメリット

長期優良住宅には税制面で様々なメリットがありますが減税額は人によって異なります。認定を取得したが結果的に経済的メリットは殆どなかったという後悔もありますので『自分の場合はどの位お得になるのか』をきちんと把握しておきましょう。

住宅ローン減税制度か投資型減税制度の適用

長期優良住宅の認定を受けると住宅ローンの減税制度もしくは投資型減税制度のどちらか一方を選ぶ事が出来ます。住宅ローン減税と投資型減税の適用要件を一般住宅と比較をしたものが下図です。

一般住宅
(ローン償還10年未満)
一般住宅
(ローン償還10年以上)
長期優良住宅
(ローン償還10年未満)
長期優良住宅
(ローン償還10年以上)
住宅ローン減税対象外対象対象外対象
投資型減税対象外対象外対象対象

長期優良住宅を住宅ローン償還期間10年未満で購入する場合には住宅ローン減税制度は使えないので投資型減税制度一択となります。

住宅ローン償還期間10年以上であれば両方共に選択が可能なのでどちらか一方を選択する形になります。(併用する事は出来ません)
では、それぞれの制度の概要をチェックしていきましょう。

住宅ローン減税制度の概要

住宅ローン減税制度の概要は下図の通りです。

一般住宅長期優良住宅
居住開始時期
(※1)
2019年10月~2022年12月2019年10月~2022年12月
控除期間
(※2)
13年間13年間
控除率1%1%
控除額(1~10年目)
借入金年末残高(上限:4,000万円)×1%
(11~13年目)
以下の①,②のうちいずれか少ない方の金額
①.借入金年末残高(上限:4,000万円)×1%
②.建物の取得価格(上限4,000万円)×2%÷3
(1~10年目)
借入金年末残高(上限:5,000万円)×1%
(11~13年目)
以下の①,②のうちいずれか少ない方の金額
①.借入金年末残高(上限:5,000万円)×1%
②.建物の取得価格(上限5,000万円)×2%÷3
最大控除額10年間で400万円
11~13年で約80万円
合計:約480万円
10年間で500万円
11~13年で約100万円
合計:約600万円
住民税からの控除額上限
(※3)
13,65万円/年
(前年度課税所得×7%)
13,65万円/年
(前年度課税所得×7%)
(※1)2021年1月1日~2022年12月31日の場合、一定の期間内(注文住宅の新築の場合:2020年10月1日~2021年9月30日まで)に契約をしている事が要件。
(※2)通常10年間である控除期間が消費税の増税に伴い3年間延長されました。当初は2020年12月末までの拡充措置だったのですがコロナ緩和措置により2022年12月末まで期間が延長されました。
(※3)所得税から控除しきれない場合は翌年度分の住民税からも控除が可能。
【その他の適用要件】

・住宅ローンの償還期間が10年以上である事。
・床面積が50㎡以上(2分の1以上が居住用)の住宅である事。
・その年の合計所得金額が3,000万円以下である事。
・取得後6か月以内に入居し、その年の12月31日に居住中である事。

住宅ローンの最大控除額は一般住宅で約480万円。長期優良住宅で約600万円です。差額は約120万円になるので、長期優良住宅であれば一般住宅より住宅ローン控除で約120万円お得になると思われがちですが実際はそうではなりません。この数値はあくまで最大控除額の場合です。

一般住宅であっても借入金年末残高の上限は4,000万円あります。つまり借入金年末残高が4,000万円を下回る場合には一般住宅と長期優良住宅の控除額に差はありません。

更に言うと住宅ローン減税制度は所得税額から控除する制度なので、所得が低い場合にはその恩恵も少なくなります。おおよそですが年収700~800万円以上、ローン借入額4,300万円以上位でないと長期優良住宅の住宅ローン控除の恩恵は受けられません。

投資型減税制度の概要

投資型減税制度は住宅ローン控除のように10年間控除され続けるのではなく1度きりの控除になります。投資型減税制度の概要は下図の通りです。

控除期間1年間
控除率10%
控除額性能強化に必要となった費用(上限:650万円)×10%
最大控除額65万円
(※)所得税から控除しきれない場合は翌年度分の住民税からも控除が可能。

住宅ローン減税制度と投資型減税制度を比べてみると分かる通り、住宅ローン減税制度を受けた方が圧倒的にお得です。その為、どちらも選択が可能な場合には住宅ローンの減税制度を利用するのが良いでしょう。

投資型減税制度は長期優良住宅を現金一括で取得する場合か、住宅ローンの償還期間が10年未満の時のみ利用すべき制度だと言えます。

不動産取得税の減税

不動産取得税とは土地や建物を買った時にかかる税金の事です。不動産取得税の減税の概要は下図の通りです。

原則一般住宅長期優良住宅
税率4%3%
(※1)
3%
(※1)
控除額1,200万円1,300万円
(※1)2022年3月31日までに新築住宅を取得の場合
【その他の適用要件】

・床面積が50㎡以上240㎡以下である事。

不動産取得税額=(固定資産税評価額(※1)-控除額)×3%で求める事が出来ます。つまり固定資産税評価額が1,200万円以上でないと長期優良住宅の優位性は得られません。

例え固定資産税評価額が1,200万円以上であっても一般住宅と長期優良住宅の控除額の差は100万円なので、不動産取得税の差額は3万円となります。

(※1)固定資産税評価額は『固定資産評価基準』に基づいて各市町村(東京23区は各区)が個別に決める評価額の事です。新築時は請負工事金額の約50~60%が目安と言われています。

登録免許税の減税

登録免許税とは土地や建物を購入した時に所有権を登録する必要があり、その登記手続きにかかる税金の事です。登録免許税の減税の概要は下図の通りです。

原則一般住宅長期優良住宅
所有権保存登記(建物)0.4%0.15%0.1%
所有権移転登記(土地)2.0%0.3%0.2%
【その他の適用要件】

・2022年3月31日までに新築住宅を取得の場合
・新築から1年以内に登記をする事
・床面積が50㎡以上である事

登録免許税=固定資産税評価額×税率で求める事ができます。仮に固定資産税評価額を1,000万円と仮定した場合、一般住宅の所有権保存登記は15,000円。長期優良住宅では10,000円となり差額は5,000円です。

所有権移転登記では一般住宅30,000円。長期優良住宅は20,000円となり差額は1万円です。所有権保存登記と所有権移転登記を合わせても差額は1,5万円で経済的メリットは少ないと言えます。

固定資産税の減税

固定資産税とは土地や建物などの固定資産を所有している時に毎年納付しないといけない税金の事です。固定資産税の減税の概要は下図の通りです。

一般住宅長期優良住宅
税率1.4%1.4%
減税措置
(※1)
税額の2/1税額の2/1
減額期間
(※2)
3年間5年間
(※1)1戸あたり120㎡相当分までが限度
(※2)6年目以降は同じ税額です
【その他の適用要件】

・2022年3月31日までに新築された住宅である事。
・1戸あたりの床面積が50㎡以上280㎡以下である事。
・下記の申告期限までに所管の税事務所に減額の申告が行われている事。
(申告期限)
2021年1月2日~2022年1月1日 新築の住宅⇒2022年1月31日
2022年1月2日~2022年3月31日 新築の住宅⇒2023年1月31日

固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%×1/2で求める事ができます。仮に固定資産税評価額を1,000万円、4年目に評価替えがあり4年目と5年目の評価額850万円と仮定をして5年間の固定資産税を計算した場合、一般住宅の固定資産税額は448,000円。長期優良住宅では329,000円となり差額は119,000円となります。

正し上記のシミュレーションでは一般住宅と長期優良住宅の評価額を同じで計算をしています。実際は、同規模であれば長期優良住宅の方が価値が高いので評価額も高くなります。その為、実際の差額はもう少し縮まる事が予想されます。

住宅ローン金利の優遇

長期優良住宅であればフラット35の借入金利を一定期間引き下げる『フラット35S』、もしくは最長50年の全期間固定金利住宅ローン『フラット50』の利用が可能です。

フラット35Sはフラット35の借入金利から10年間、金利を0.25%引き下げて借りる事が出来ます。フラット50は返済期間を長くする事で毎回の返済額を抑える事が出来ます。他にも住宅を売却する時に住宅ローンを購入者に引き継がせる事が出来る特徴もあります。

フラット35Sフラット50の詳細は公式サイトをご覧ください。

フラット35Sはどの位お得?

一般住宅が借入出来るフラット35と長期優良住宅が借入出来るフラット35Sでは返済額にどれ位の差が出るのかシミュレーションしたいと思います。

【シミュレーションの条件】

・借入額:3,000万円
・借入期間:35年間
・元利均等返済
・ボーナス返済なし
・借入金利:年1.24%

一般住宅
(フラット35)
長期優良住宅
(フラット35S)
借入金利年1.24%年0.99%(当初10年間)
年1.24%(11年目以降)
毎月の返済額88,082円84,545円(当初10年間)
87,110円(11年目以降)
総返済額36,994,468円36,278,333円
差額716,135円お得

上記の条件であればフラット35に比べてフラット35Sは約72万円お得だと言えます。

地震保険の割引

地震保険の割引制度は「建築年割引」「耐震等級割引」「免震建築物割引」「耐震診断割引」の4タイプあり、それぞれの条件を満たす中で最も割引率の高いものが適用されます。(重複は出来ません)

それぞれの割引制度の適用条件は下記の通りです。

対象となる住宅のタイプ補助額上限
長期優良住宅110万円
高度省エネ型
(認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅)
110万円
ゼロ・エネルギー住宅140万円
省エネ改修型50万円
木造建築物型(非住宅)
(建築面積1㎡当たり1万円)
1,000万円

長期優良住宅であれば「耐震等級割引」および「免震建築物割引」どちらかの条件は満たしていますので必要な書類を用意して認められた場合、提出日以降の保険期間から割引が適用されます。

補助金を受けられる可能性が高い

新築時、一定の要件を満たしている住宅であれば補助金を受け取れる制度が幾つかありますが、長期優良住宅であればその要件を満たしている事が多いです。以下は長期優良住宅であれば補助金を受け取れる可能性の高い補助金制度です。

・グリーン住宅ポイント制度
・すまい給付金
・地域型住宅グリーン化事業

グリーン住宅ポイント制度

グリーン住宅ポイント制度は一定の省エネ性能を有する住宅の新築やリフォーム等に対して、商品や追加工事と交換できるポイントが発行される制度のことです。

注文住宅の場合は工事請負契約を2020年12月15日〜2021年10月31日の間に行った方が対象となります。発行ポイント数は下記の通りです。

住宅の性能発行ポイント
高い省エネ性能等を有する住宅40万PT/戸
特例の場合 100万PT/戸(※1)
一定の省エネ性能を有する住宅30万PT/戸
特例の場合 60万PT/戸(※1)
(※1)特例として以下に該当する場合にはそれぞれポイントが加算されます。
・東京圏の対象地域からの移住のための住宅
・多子世帯(18未満の子3人以上)が取得する住宅
・三世代同居仕様である住宅
・災害リスクが高い区域からの移住のための住宅

長期優良住宅であれば"高い省エネ性能等を有する住宅"の要件を満たしていますので申請を行い認定されれば40万PTを受け取る事が出来ます。

すまい給付金

すまい給付金は消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和する目的で創設された制度です。

注文住宅を新築する場合は2020年10月1日~2021年9月30日までに契約を行い、2022年12月31日までに引き渡し・入居が条件となっています。すまい給付金の給付額は下記の通りです。

収入額の目安給付額の目安
(※1)
450万円以下50万円
450万円~525万円40万円
525万円~600万円30万円
675万円~775万円10万円
(※1)給付額はあくまで目安です。
給付額は給付基礎額(都道府県民税の所得割額で確認)×持分割合(不動産の登記事項証明書で確認)で設定されます。
詳細はすまい給付金公式HPをご確認下さい。

住宅ローン減税制度は収入が多い方が恩恵が大きかったのですが、すまい給付金の給付額は収入が少ないほど多く支給される仕組みになっています。

地域型住宅グリーン化事業

地域型住宅グリーン化事業とは省エネルギー性能や耐久性等に優れた木造住宅の促進を支援する事業で、対象となる住宅を特定の工務店で建築した際に補助金の支給を受ける事が出来ます。

対象となる住宅と補助金額上限は下記の通りです。

対象となる住宅のタイプ補助額上限
長期優良住宅110万円
高度省エネ型
(認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅)
110万円
ゼロ・エネルギー住宅140万円
省エネ改修型50万円
木造建築物型(非住宅)
(建築面積1㎡当たり1万円)
1,000万円

地域型住宅グリーン化事業を活用するには国土交通省の採択を受けたグループに所属する施工事業者に依頼する必要があります。長期優良住宅を建てても、地域型住宅グリーン化事業に参加していない施工事業者であれば補助金を受け取る事は出来ないので注意が必要です。

グループは主に原木供給事業者・製材・建材・設計・中小工務店(年間50戸程度未満の供給事業者)等から構成されています。気になる工務店がグループに所属しているかは地域型住宅グリーン化事業のホームページをご覧ください。

地域型住宅グリーン化事業採択グループの紹介

資産価値の評価が高くなりやすい

長期優良住宅は耐震性や省エネルギー対策、劣化対策などさまざまな基準をクリアして性能が一定以上あると国から認められた住宅です。

建てた後も「維持保全計画」に基づいて定期点検・メンテナンスが義務付けられているため一般住宅と比べると資産価値の評価が高くなりやすいです。つまり売却時に高値で売りやすいというメリットがあります。

売却だけでなく賃貸住宅として誰かに貸し出す場合にも長期優良住宅物件であれば有利に働きます。


ナビ子

後悔しない為には長期優良住宅にして認定を受けた時の経済的メリットが申請費用等の支出を上回るか判断をする必要があります。また長期優良住宅には経済面での損・得以外にも"長期的に安心して暮らす事ができる住宅"という安全面が優れている一面もありますので、金銭面以外の事も考慮して検討をしましょう。

ナビ子

では続きまして、長期優良住宅でのリアルな後悔・失敗談や長期優良住宅を検討されている方におすすめのブログなどをご紹介していきたいと思います。

家たてる

はーい。宜しくお願いします。

長期優良住宅の後悔談

長期優良住宅に関する失敗や後悔しているリアルな声を何件かご紹介したいと思います。先人の失敗や後悔を参考にさせて貰いマイホームづくりを進めていきましょう。

30代男性

ローン控除、税優遇と長期優良の申請コストを天秤にかけて数十万円は得すると考えて申請をしてもらったのですが、その書類作成や性能評価や認可待ちで数か月かかってしまい、結果大して得をしない状況になってしまいました。現在の家賃を考慮していなかった自分がアフォでした。

40代女性

長期優良住宅にしたかったのですが営業さんが面倒くさがったのか、やりたがっていないのか、良く分かっていないのかスムーズに話が進まずに結局疲れて諦めました。地域密着の小さい工務店だからでしょうか。大手だとこういう事も無いのかもしれません。

30代女性

長期優良住宅の認定を受けるつもりだったのですが書類作成費用が30万円かかると言われ辞めました。後で知ったのですが代行費用は住宅会社によってマチマチなんですね。

40代男性

長期優良住宅に住んでいます。そんなに後悔はしていませんが、ただ定期点検を決まったタイミングで絶対にやらないといけないのがやや面倒かな。もし補修が必要となればまとまったお金がかかるので、お金も用意しておかないといけないし。

20代男性

標準で長期優良住宅仕様だったので認定を受けようと考えていたのですが、申請が着工前だと知らずに認定を受けられなくなってしまいました。ハウスメーカーの人も一言言ってくれれば良いのに。まぁ、私の勉強不足ですね…

30代男性

税の優遇などはありますが申請にかかる費用や認定まで時間がかかる事などを考慮すると微妙って感じですね。一応、認定は取得しましたが経済的なメリットはトントンといった所でしょうか。

30代女性

減税されるのでお得!と思って長期優良住宅にしたのですが住宅ローンの残高が2,000万円位だったら普通の住宅とあまり控除額変わらないんですね。我が家の場合だと申請の意味なかったなと思っています。

後悔したくない人におすすめのブログ

長期優良住宅を検討されている方におすすめの個人ブログを6サイトほどピックアップしてご紹介したいと思います。

ブログタイトル:共働き夫婦の家づくり

長期優良住宅で後悔したくない人にお勧めのブログ(共働き夫婦の家づくり)

こちらのブログには長期優良住宅を検討した結果、申請をしないと決めた理由などが書かれています。長期優良住宅について書かれている記事⇒【長期優良住宅の申請には十分な検討を!】

ブログタイトル:たてかえ

長期優良住宅で後悔したくない人にお勧めのブログ(たてかえ)

こちらのブログには施主さんが長期優良住宅に惹かれる理由などが書かれています。長期優良住宅について書かれている記事⇒【長期優良住宅に惹かれる理由】

ブログタイトル:神奈川に注文住宅しよう。住宅情報館!

長期優良住宅で後悔したくない人にお勧めのブログ(神奈川に注文住宅しよう。住宅情報館!)

こちらのブログは長期優良住宅の認定を受ける事でメリットを得られるのか?を考察しています。長期優良住宅について書かれている記事⇒【長期優良住宅のメリットは得られるか】

ブログタイトル:三井ホームで建てる 都内 狭小3階建て 注文住宅

長期優良住宅で後悔したくない人にお勧めのブログ(三井ホームで建てる 都内 狭小3階建て 注文住宅)

こちらのブログの施主さんは長期優良住宅の認定を取ろうとしていたのですが些細なミスで認定を取れなかった話です。長期優良住宅について書かれている記事⇒【【夫の小部屋⑦】●●区の役人め、祝ってやる!!!!!】

ブログタイトル:住友林業でほぼ標準仕様の家を建てるブログ

長期優良住宅で後悔したくない人にお勧めのブログ(住友林業でほぼ標準仕様の家を建てるブログ)

こちらのブログは長期優良住宅のメリットとデメリットを天秤にかけ悩んでいる様子が書かれています。長期優良住宅について書かれている記事⇒【長期優良住宅】

ブログタイトル:小さいながらも愛しい我が家

長期優良住宅で後悔したくない人にお勧めのブログ(小さいながらも愛しい我が家)

こちらのブログには長期優良住宅を申請しないと決めた理由などが書かれています。長期優良住宅について書かれている記事⇒【長期優良住宅認定の取得 について考えてみました】

長期優良住宅で後悔しない方はこんな方

長期優良住宅には注意が必要なデメリットもあれば、当然メリットも多くあります。長く快適に、そして安全に暮らす事ができるというメリットは全員が享受できるメリットですが税制面の優遇は収入や住宅ローンの借入額により差が出てきます。

デメリットに関しても定期点検や必要に応じて悪い箇所をお金をかけ適宜改修する事を安全面や家の長寿命化の為だとすればデメリットと捉えない事も出来ます。

長期優良住宅で後悔するか、それとも満足するのかはその人の考え方や置かれている状況により異なるので一概に決める事は難しいですが、こういう方であれば後悔せずに満足するであろうという一例を挙げておきたいと思います。

高収入で住宅ローンの借入額も大きな方

住宅ローン減税制度は高収入で借入額も大きい方が受ける恩恵が大きいです。具体的な目安として年収700万円~800万円以上、ローン借入額4,300万円以上位から長期優良住宅の恩恵を受けられます。

申請費用の安い住宅会社と契約された方

長期優良住宅の申請には費用がかかります。申請の際は住宅会社に代行をお願いする事が一般的で費用は約10万円~30万円ほどかかります。

代行費用は住宅会社によって異なります。安い費用で代行をお願いできる住宅会社であれば初期費用を抑えられるので経済的メリットがその分大きくなる可能性が高いです。

将来売却や賃貸を考えている方

長期優良住宅物件であれば資産価値が高く評価されやすいので売却時に有利に働きます。また賃貸でも借りてが見つかりやすかったり等の有利な点があります。

子世代、孫世代にも引き継ぎたいと考えている方

長期優良住宅は定期的にメンテナンスを行う事で家が良い状態で長持ちします。その為、子世帯そして孫世帯にも住宅を譲りたいと考えている方に向いています。

まとめ

長期優良住宅の注意すべき点・デメリットやメリットを通じて後悔しない為に抑えるべきポイントを紹介してきましたが如何だったでしょうか。

長期優良住宅にして認定を受けるかどうかは経済的メリット・デメリットを考える事も大事ですが“長期的に安心して暮らす事が出来る家"という安全面が優れているという一面も忘れてはいけません。

海外に比べると日本の住宅の長寿命化はまだまだ普及していません。スウェーデンでは「親の代で家を建て、子の代でサマーハウス(別荘)を、さらに孫の代ではヨットを。」という言葉があるのですが、日本でも長寿命化が当たり前になればローン返済に追われない子世代、孫世代は今以上に豊かな生活を送れる事でしょう。

住宅の長寿命化は私たち自身の老後も守ってくれます。30年後、40年後、劣化対策や性能が不十分な家では老朽化が進み至る所にガタが来ている事でしょう。大地震や災害におびえながら老後を不安定な家で過ごすのは心身ともに堪えると思いますが長期優良住宅であればそうした心配事も無くなります。

長期優良住宅仕様で建てるのか。そして認定を受けるのかどうかは経済的な損・得だけでなく建ててからの事や、その先の将来の事も含め考える必要があります。

注文住宅で後悔しない為にすべき事

誰もが「家づくりで後悔したくない」と思っていますが残念ながら後悔例は後を絶ちません。それは殆どの方が比較・検討が不十分だからです。

車や高級家電などを買う時には『どの会社の品質・性能が良いか』『どの商品がよりお得か』等、必ず複数見比べ比較をすると思います。似たような見た目であっても品質・性能・価格は大きく変わりますし、自分達に適した商品がどれなのかも比較をしないと分からないからです。

これは注文住宅にも同じ事が言えます。複数社を比較・検討する事で初めてそれぞれの住宅会社の特徴が分かり、自分たちの条件に合う商品を見つける事が出来るのです。

注文住宅で後悔しない為にはかならず複数社の比較・検討を行うようにしましょう。

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この記事を書いた人
管理人
管理人

資格:宅地建物取引士(東京都宅地建物取引業協会認定)
経歴:不動産・住宅業界約10年
元ハウスメーカー勤務。現在は家づくり関連の情報サイトを複数手掛けるWEBディレクター
不動産・住宅業界10年以上の経験を活かし、注文住宅に関する"分からない事"を解消できるようにこのサイトを作成しました。